125話「考える夜」

パリ最終夜。
雨が朝からずっと降り続いて、なんだか気分がパッとしない。

昔っから心がモヤモヤしてる時ってなんか雨で、
それでも雨音を心地よく感じられる日と、
やっぱりどうしてもそう穏やかに居られない日もある。

宿の窓を開けるといつも向いのレストランから良い香りと、
楽しそうな談笑が聞こえる。

それを聞きながら、今度は家族や、大切な人と来たいなあなんて、
ちょっと感傷にひたる。

ちょっと前までの絶好調に元気な私はどこへいったんやら。
突然どこかに行っちゃった。

人の心なんていつどのタイミングでひっくり返っちゃうかわからない。

さっきまでキラキラしてたものが
突然真っ暗になっちゃう事なんてよくある事。

でもきっとこの突然やってきた真っ暗闇が、
きっとまた私の背中を強く押してくれるんだろうなって、
ほんの少し残ったボジティブな面がなんとか私を慰めてくれる。

人生に平穏な暮らしなんて訪れてしまったら、
私はきっと焦って焦ってしょうがない気がする。

パリに来た、その導かれた理由が最後の日の今日、
ようやく分かった気がする。

心はニューヨークに向いていたのに、
それでもパリを選んだそのわけが。

ニューヨークにそのまま行ってたらこの感情にはなってなかったと思うし、
この感情が無ければ、物作りを続けて行く事が出来なくなってたかもしれない。

なるべくシンプルにシンプルにと、
自分の人生を整理整頓してきたつもりだったけど、
必要な物さえ削ぎ落としてしまってたかもしれない。

難しい。

手に持ちきれない荷物は持たないと決め、
たくさんの余分に持ってたものを捨ててきたけど、
捨てる以外にも選択肢はあったなあって思いました。

たくさんの周りの暖かい人達に支えられ、与えられ、
分けてもらいながら出来上がった私って人は、
ちゃんとそれをさらに周りの人に繋げていかなければ。

ニューヨークにそのまま行っていたら、
削ぎ落とすだけの人間になっていってたかもしれない。

自分の直感や本能を大事にする事も大切な事だけど、
そんな自分を思ってくれる優しさや厳しさも大事に大事に。

今日別にこれといってなにか問題があった訳ではありませんのでご心配なく。

しいて言えば、「何もなかった」からこそ気持ちが震えて、
考えた1日だったって事です。

今日は眠れないかもしれないけど、考える日にしよう。

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